おら、イギリスさ行くだ

田舎からイギリスのブリストルに引越しました。

画伯に習う

英国のみんなが3ヶ月以上家に閉じ込められた「ロックダウン」でしたが、無事に緩和されて家族以外の他所のお家も訪問できるようになって1ヶ月が過ぎたブリストル村。

 

ロックダウンに突入する前に絵を教える約束をしていた子供がいました。ロックダウンが緩和されてついに約束を果たすことができます。

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ブリストル村ではお天気の良い日はなんだか外に出ないと損のような気がして、第一回目のお絵描き教室は、公園でピクニックマットを広げて開催しました。

ブリストル村でお天気の良い日が続くのもおそらくあと1ヶ月程でしょう。その間にピクニックお絵描き教室をして、冬は室内に避難という計画です。

 

以前の職場で年に数回、子供たちと工作をするワークショップをしていたことがあり、あまりにも人数が多すぎて全員をゆっくり見る事ができない時がありました。積極的な性格の子供はどんどん話しかけてくるのですが、大人しい子は遠慮して静かに声を掛けられるのを待っているのです。

全員を平等に見られるように気をつけていましたが、子供たちから見ると不公平だと感じることもあったかも知れません。

今度のお絵描き教室は子供1人とおかっぱの2人ですからそんな不公平を感じるような事は避けられるかと思います。

 

もう20年近く前の事ですが、養護施設の子供たちと一緒に絵を描いて、全員をお互い画伯と呼びあったら素晴らしい傑作が次々に生まれた事がありました。

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それを期に、おかっぱは子供に絵を教える機会があると生徒を「画伯」と呼ぶことにしています。今度の画伯もまだ2回目ですが既に傑作が生まれ、子供の感性の豊かさをとても羨ましく思います。

 

絵はずっと描き続けていたら誰でもある程度は「上手く」なるものだと思います。子供の頃に学校でクラス全員がお母さんの絵を描いて教室の壁に貼っていた事があるのですが、他のクラスの担任が教室にやって来て全員の絵を見ている時に同級生がおかっぱの絵を「上手」だと言ったのです。しかし、その他のクラスの担任はその絵を「上手だけれど子供らしくない絵」だと言ったのを憶えています。

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そこからおかっぱは、子供らしいとはどういう事だろうと少し考えて他の同級生の絵をよく見てみたのです。なるほど、おかっぱの絵はシワや髪がちょっとハネているところなども描いており、他の子が良いところをピックアップしてそこばかり描いているのと比べると「重箱の隅をつつくような」絵でした。

 

ともすると、子供の感性とは逆の発想が子供の感じるところの「絵が上手い」という表現に当てはまるのかと思います。

 

人間とは、他人と比べて優れている、あるいは劣っていると思ってしまう事が時々はあるものです。しかし、せっかく美術を学ぶからには比較や競走は一旦置いておいて、絵を描くことによって自分と向き合い、自分の中に自分の基準や物差しを作って他人に評価されずとも「素晴らしい絵が描けた」と「自画自賛」するくらいの心意気があった方が楽しいのではないかと思うのです。楽しいと長続きしますし、長く続くと何でもそこそこ「上達」するのではないかと思います。

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さて、おかっぱの小さな画伯には毎回自分で描いた絵のどこが好きなのかを最後に発表してもらうことにしています。これからどんな傑作がうまれ、どんな物差しを彼女が作っていくのか楽しみです。

 

おかっぱも実はこの2回のピクニック教室で、教えるということは教わる事だと改めて感じました。

 

未来は明るい!!

※写真は掲載の許可を頂いております。ありがとうございます。

 

へば、まんず!

(秋田弁: それでは、この辺で!)