おら、イギリスさ行くだ

田舎からイギリスのブリストルに引越しました。

3日間の隔離

昨夜、誰も居ないはずの我が家の玄関のドアが突然開いた音がしました。相方は仕事に行っており、おかっぱは小さな明かりだけを点け、のんびり趣味に耽っておりました。

 

おかっぱ達の住むエリアは住宅街で近所の人々は普段からよく挨拶を交わしますし、治安も悪くはありません。しかし、ブリストル村育ちの相方はおかっぱを平和ボケしていると思うようです。初めの頃はここは日本ではないので気をつけるようにとよく言われていました。

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夜に相方の留守中に何者かが侵入してきたのかと思い、何か武器になるものを…とハサミを手にしたところで部屋のドアが開きました。

相方でした。

いつもより2時間ほど早い帰宅です。具合でも悪くて早退したのかと思ったら非常に元気そうです。

 

3日間の自宅隔離で自宅に強制送還されたのだそうです。

 

相方の所持するスマートフォンには英国の医療サービスNHSのCovid 19追跡アプリが入っており、それに3日間の自宅隔離(self isolated)をするように指示が出たのだそう。このアプリは住んでいる地域の警戒レベルが表示されたり、接触した誰かがCovid 19に感染している事がわかった時などにアプリに指示が表示されます。簡単に言うとBluetoothを使ってアプリの所有者同士が接近した時にその情報が記録されるという仕組みのようです。スマートフォン端末同士がBluetoothを介してデジタル握手をするといったイメージでしょうか。

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このアプリにはQRコードの読み取り機能が搭載されており、パブやレストランが開いている時にはそのお店のオリジナルの個人情報記録システム以外にこのNHSのアプリ専用のQRコードが各店舗の入口に掲示されていました。

 

このアプリはリリース前から物議を醸し、おかっぱはダウンロードするかどうか吟味している間に結構な時間が経過したというワケです。テクノロジーの利用については好意的な考え方のあるおかっぱですが、人間が便利に暮らし、幸せになるためのテクノロジーのはずがそれに逆行するような事象が起こり得るという側面もあるため、少し慎重に考えようと思ったのです。

 

このアプリが議論を呼んだ点については、個人情報を収集するというシステムが倫理的、セキュリティ的に如何なものかという理由を始め、他のヨーロッパ諸国で開発されたアプリとアプローチの方向が違う等々…リリース前にきちんと議論された感はあります。

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しかし、おかっぱはこの件についてはテクノロジーの利用に若干の気味悪さを感じてしまいました。

 

映画にもなったスノーデンの告発が真っ先に思い出され、個人情報を積極的にしかも携帯電話を所持する限り常に受け渡すとは少々気味が悪いと思ったのです。そんなことを言っては携帯電話を持つだけでもそこそこ気持ち悪いのかも知れませんが…。

 

映画スノーデンの中でヒロイン役の女性は隠さなくてはならないような事はないと潔い姿勢でしたが、おかっぱは朝の寝起きの不機嫌さはできれば誰にも公開したくはありませんし、風呂に入りながら歌う変な鼻歌も聞かれたくありません。そして、最近の趣味の植物たちを眺め、成長ぶりを確認して飛び上がるほど喜んでいるのも非公開でお願いしたいところです。

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ただの位置情報だけで大袈裟かも知れませんが、サイバーな才能を持ち合わせていないおかっぱの「想像上の気味悪さ」とはそんなものなのです。

 

もちろんNHSアプリがそこまでの個人情報を収集するとは思えませんが、想像はこういった場面で現実を簡単に越えます。

 

そんな理由で未だに所持していないアプリの指示により、相方と一緒に暮らすおかっぱも3日間の自宅隔離となりました。

 

不思議な世の中です。

隔離解除まであと2日…。

 

※写真は隔離前に散歩で訪れたブリストルの公園の水鳥たちと我が家の植物です。

 

へば、まんず!

(秋田弁: それでは、この辺で!)