おら、イギリスさ行くだ

田舎からイギリスのブリストルに引越しました。

次の騒ぎは…

アメリカで始まった人種差別抗議のデモがブリストル村にも届きました。英国は緩和されたとは言え、まだロックダウンの最中です。ブリストル村のデモ隊には社会的距離なんてもうすっかり過去の事のようでした。

日曜日はブリストルの街にあるエドワードコルストンの銅像が倒されて川に捨てられたそうで、大騒ぎだったようです。エドワードコルストンとは学校や病院に多額の寄付をした慈善家ですが、その財産は奴隷売買で築いたものだったようです。日曜日は英国のトップニュースがこのデモの騒動でした。

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先週辺りから、人種差別に抗議する内容の落書きが近所にも増えていました。今まで我慢し続けて医療を守ろうと、弱い立場の人々、健康弱者を守ろうとしてきたロックダウンとは一体何だったのかとデモのニュースを見ながら少し首を傾げました。このデモによってあっさりと全てが返上されたようにも見えました。

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おかっぱは、ブリストル村の生活で「これはひどい!」と思う差別を受けた事が一度あります。不当な扱いだと思って本人に向かって抗議しましたが、本人は全く意味のわからない理論を展開させ、会話にもならず、かなり腹立たしい思いをしました。

おかっぱはなんて日だ!と思ってお気に入りのパブに駆け込み、今日はこんな事があって怒り心頭であると知り合いや友人の前で話したところ、全員がおかっぱ以上に怒って散々相手を非難しました。冷静に振り返ってみると、おかっぱの英語が完璧ではないとしても、相手の主張にはセンスの欠片もありませんでした。

会話もせずに相手の国籍を決めつけ、挨拶どころか名乗りもせずに国へ帰れとは随分な言い分です。しかし、友人たちがおかっぱの代わりにカンカンに怒っているのを見るうちに、すっかり気持ちがおさまりました。決めつけられた国籍も違っていましたし、こんな事に反応をすると心が荒むので、生命の危険がない限り問題の人物からそっと離れようと思ったのでした。


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さて、ブリストル村で引きずり降ろされた銅像は現在も川の中にあるようです。歴史から学ぶのが人間ならば、その歴史を変えるために人々が動いたというのは画期的な出来事と言えるでしょう。それと同時に、すでにこの世にいない人の銅像を倒し、よってたかって叩き、蹴り、川に落とすというのはなんだかやり方が少々原始的かな…とも思ったのでした。

 

ブリストル出身のバンクシーは、その銅像を水から引き上げ、元の場所に戻し、首に紐をかけて倒そうとするデモ隊の像も一緒に設置したら全員ハッピーではないかという「折衷案」なるものをインスタグラムで発表したようで、今度はそれがブリストルのニュースで大きく取り上げられました。

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台座はしっかり残っているようですし、その像については以前から問題視する人々もいたそうですからこの出来事を記録する意味でいい案なのかも知れません。

 

ただ、おかっぱが非常に気になるのは今まで散々我慢を強いられてきたロックダウンです。大混雑するデモ隊が現れても何事もないのであれば、我々は約12週間もの間、一体何をしていたのだという疑問が湧いてしまうではありませんか…。

健康に不安のある家族がいるおかっぱ達にはまだそんな場所に近づく勇気はありませんが、人混みを避ける生活を割と真面目にこなしてきた人々もまとめてハッピーであるために、バンクシーの折衷案の銅像は全員マスク装着ではいかがでしょうか…。

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へば、まんず!

(秋田弁: それでは、この辺で!)