新たなルール
パブが再開されてから他のパブがどれくらい安全に営業されているのかをマネージャーはチェックしに行っていたようです。おかっぱが怖がって近寄らなかった付近をくまなく外から見て回ったそうです。
おかっぱが行った場所は若者はおらず、ほとんどがおかっぱよりも年上と思われる世代の人々でルールはきっちりと守られていました。マネージャーが行った場所は若者が多くほぼロックダウン前と変らない様子のパブもあったそうです。
おかっぱが働くパブも新しいルールと共に再開です。
仕事へ行く日にはオンラインで健康チェックの質問に答え、職場に着いたら中に入る前に検温です。入院した時に使われた額に近づけると熱が測定できる体温計が店にも用意されました。上着は店の外で脱ぎ、すぐに袋に入れます。店に入る時は手をアルコールで消毒します。
英国政府の要請によって全てがテーブルサービスです。
これまではカウンターで飲み物を注文するとその場でサーブされるシステムでしたが、なるべくオンラインで注文と決済を済ますようにお客にお願いをする事になりました。このオンラインのシステムはパンデミックの騒ぎが始まる前からあったのですが、常連客のほとんどはカウンターで注文していました。
レジには安全なスペースを確保できるようにするために最大でも3人までしか並べない事になりました。
最低でも30分に1度は20秒の手洗いとアルコールで手指消毒、テーブルに運ばれるものも直接そのテーブルまでは持っていくことができません。メニューも今までは拭いて再び使うものでしたが使い捨てのものが用意され、基本的には個人のスマートフォンで注文するようにお願いする事になりました。パブの入口も一方通行です。
おかっぱはしばらく前から全ての決済をコンタクトレスで済ますようになりました。現金が行き来する間にウイルスを運ぶリスクが上がると考えた個人店が次々に現金の受け取りを拒否し始めていたためです。現金も使えても家に帰ってから拭くのがなかなか厄介でした。
この3ヶ月、皆それぞれの対策が個人で行われていたと思います。外から帰ってすぐに着替える、人が多い場所を通った日にはすぐにシャワーを浴びるなど我が家にも新しいルールができました。相方は靴を玄関で脱ぎ忘れる事がなくなり、漂白剤を薄めた液体で1日何度も掃除をするようになりました。
買ってきたものや外に運んだもの、鍵、携帯電話、財布の中身も全て拭くことが習慣になりました。
郵便物は外の封筒をすぐに捨て、手を洗ってから読むようになり、外へ出る時はマスクを着用するようになりました。
同僚たちもおそらく3ヶ月以上、同じような生活をしていたと思います。
政府がもうパブに行ってもいいよ!皆で経済を回復させようよ!と言ったところで怯えるのも無理はありません。まだパブは空いています。
パブが閉じた後もマネージャーは1日1組、お客のためにテーブルをセットし、毎日写真をFacebookに投稿していました。その数は100枚以上、人数は200人近くになりました。全ていつもそのお客が飲む定番の飲み物(中身は空ですが…)がそこにセットされ、そのお客の名前、よく座るテーブルの番号、何曜日に来る、何をしに来るかなどが書かれていました。
あなたの席はパブが開いた時のためにリザーブされています!というメッセージと共に。
そして、その約束の時がきました。
当分は新しいルールでまるで今までと違うパブのようになるでしょう…。
まだ常連客全員には会えていませんが、ひとまず、皆、おかえりなさい。
へば、まんず!
(秋田弁:それでは、この辺で!)