バンクシーとグラフィティ
どうも、おばんでございます。
(秋田弁: どうも、こんばんは。)
初めに、既に一年以上経過してしまいましたが以前書いたバンクシーについての文章の訂正をしたいと思います。
バンクシーに違いないと思っていましたが、聞き込み調査を続け、調べてみたところどうもバンクシーではないと判明したこちらの絵について訂正させていただきます。
バンクシーではないという証拠を掴むまでかなり時間がかかってしまいました。
(問題の本文の方にも訂正の文を入れました。)
こちらは、バンクシーに人生を救われたと公言しているJPSのグラフィティアートのようです。
JPSとはブリストルから約30kmほど離れた町、ノースサマセットに位置するWeston-super-Mare出身のグラフィティアーティストのようです。
バンクシーに人生を救われたという彼ですが、それまでに友達が2人立て続けに殺されたり、ホームレスになったり、お酒やドラッグに溺れて友達がどんどん去っていくという経験があったというインタビューの記事を以前読みました。
彼はバンクシーのスタイルに似ているように感じますが、ブリストルで行われていたバンクシーの展示にインスパイアされてグラフィティアートの制作を始めたようですので、バンクシーのスタイルに似ているのも納得です。
彼の暗黒の時代はバンクシーの展示を見たことによって終わりを迎えることになったようです。
(Weston-super-Mareの写真です)
ブリストルでJPSのグラフィティを他にも見かけたことがあります。おそらく他にもたくさんあるのでしょうけれどもおかっぱがJPSのグラフィティと認識しているのはこちらのハートの風船で吊るされたブランコに乗る少女です。
おかっぱは若い頃に美術を勉強していましたが、こういったグラフィティと比較すると古典的なアートの部類といって良いでしょう。
グラフィティとは違法の落書きではあるのですが、アートという視点で見ると興味深い文化のひとつです。
好きか嫌いかはさて置き、バンクシーのように知らない人の方が少ないアンダーグラウンド出身のアーティストとはセンセーショナルな存在と思います。
グラフィティアートは、キースヘリングやバスキアによってアンダーグラウンドカルチャーから表に出されて世界的に浸透していったというイメージがあります。(彼らの展示作品はストリートのグラフィティとは異なるのでしょうけれどグラフィティのスタイルを美術の発表の場に持ち込んだという意味で…。)
先日、バレンタインデーの贈り物と騒がれたバンクシーの新しいグラフィティがブリストルに出現しました。
バンクシーはブリストルの出身ということで喜ぶグラフィティアートのファンがたくさんいて早速近所の人々は写真を撮りに行っていました。
しかし、3日と経たない今日、このグラフィティがバンダライズ(破壊、上書き)されたというニュース(The Guardian: Banksy artwork in Bristol is vandalised days after appearing)を読みました。
バンダライズとはグラフィティアートにはよくある事で、バンクシーもやっていた記憶があります。
その昔、グラフィティアートとは一体何なのだと思い調べた事がありますが、当時は既に存在するグラフィティアートを上書きするにはさらに完成度(芸術性)の高いアートでなくてはならない、グラフィティを描く場所は個人の所有物であってはいけないというグラフィティアーティスト(ライター)の暗黙の了解があったようです。
これも時代と共に変わってきたようでおかっぱがブリストル村に引越して来た後に見たグラフィティ、また、バンクシーや他のグラフィティに上書きされたものを見るとこの暗黙の了解も既に過ぎ去った過去の事のように思えます。
または、バンクシーが世界的に知られる存在になりリスクを冒しながら活動を続ける人々の嫉妬や反感を買っているのかも知れません。
そもそもは犯罪行為ですからね…。
ストリートから始まり、美術館で勝手に絵を展示するようなパフォーマンスを始めたあたりからバンクシーの名前は徐々にアンダーグラウンドの枠からはみ出し始め、様々な人に知られていったように思います。
おかっぱがバンクシーの名前を知ったのもちょうどその頃だったと思います。
バンクシーの特徴とも言える社会風刺、ユーモア(皮肉)、そして出来上がりきっている美術界の常識を崩してそこへ組み込んでいくバンクシーの活動は古典的な美術をやってきたおかっぱのような者にとっても驚かされる存在でした。
時々、バンクシーとはもしかしたら1人ではないのではないかと思う事さえあります。
シナリオライター、作画をする者、企画者、マネージメント等と分担してバンクシーが謎のままで居られるように上手に作業をして完璧にオーガナイズされているのではないかと…。
バンクシーの活動というのは大掛かりな時もありますし、アートシーンをよく理解している人物が仕掛ける巧妙な切り口に見える時もあります。
バンクシーがここまで有名になったのもただの偶然ではなくチームによる綿密な計画があったのではないか…などと妄想が広がってしまうような魅力的な活動を展開する人物だと思います。
ここまで書いておきながら、おかっぱはバンクシーの大ファンという訳ではありません。しかし、今後も気になる存在ではあります。
美術館などで厳重に管理されている作品と違い、今後も街にあるバンクシーはそのままの状態で保管されていくことは難しいと思います。
このバレンタインデーの贈り物も初めは透明のカバーがかけられて保護されていたようですが保護のためにかけられたカバーは早々に盗まれてしまったようです。
その「瞬間」でしかないような部分も何だかバンクシーが気になってしまう理由のひとつなのかも知れません。
へば、また!
(それではまた!)