おら、イギリスさ行くだ

田舎からイギリスのブリストルに引越しました。

夜更かしは何の徳か…。

英国2度目のロックダウンが始まり、初めは若干の放心状態に陥ったおかっぱ…。それも数日もすれば飽きてくるもので、冬はこれからというのに冬眠から目覚めたように活動を始めました。

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元々夜型のおかっぱは完全に夜型の生活に落ち着き、朝方に寝る日々です。前回のロックダウン以降、相方の仕事は夜勤に変わり、今回のロックダウンでおかっぱのパート先は再び休みになり、おかっぱの夜型生活を止めるものは何も無くなりました。世の中、早起きは三文の徳などと昔から言われますが、夜型にもそれなりの人生があるというものです。

 

おかっぱの夜型人生は英国では睡眠障害と判定され、専門医はそこそこ問題視したのですが、夜型か朝型かは遺伝子の段階で決まっているという専門家の考え方もあるのだそうで、夜遅かろうが早かろうが、よく眠れれば良いと思えば気楽なものです。

ところが、社会は朝に起きて夜は眠るように設計されていますから、夜型が持て囃されることは滅多にありません。朝活とは一時よく耳にしましたが、夜活など聞いたことがありません。長年夜型人間として人生を送ってきたおかっぱも、社会生活を送るために朝に早く起き、無理やり朝型の生活に合わせて暮らさなくてはならないことの方が多いです。

いかに夜型であろうとも、朝に早く起きる生活に慣れることは可能ですしね…。

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しかし、朝型の友人、知人は夜遅くまで起きているのは不可能だそうです。それもそのはず、夜遅くまで起きていなくてはならない職種の人でなければ、無理やり朝型を矯正することが義務になることはまずありません。

 

英国、2回目のロックダウンが始まり、夜型に拍車がかかったおかっぱは夜型人間ならではの徳だってあるのだと思っています。夕方以降、完全に頭が冴え、朝のどんよりした気分はキレイさっぱりなくなります。夜は周りが静かですし、外は暗く余計なものは見えなくなります。光と色で埋め尽くされた世界は深い眠りにつきます。

世界が寝静まっている間は、夜型人間にとっては何にも邪魔をされることなく集中して作業ができるゴールデンタイムかと思います。

おかっぱは日頃は空いた時間にイラストを描く仕事を細々としていますが、作業を進める絶好のチャンスです。

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前回のロックダウンはサマータイム中で朝は早くから明るくなり、夜も10時まで明るく、更に天気も良かったため、毎日散歩に出かけ、数時間を散歩に費やしていました。今度のロックダウンはサマータイムも終わり、どんどん暗くなる季節です。いよいよ室内でする作業には願ってもない好環境です。

 

今回のロックダウンは1ヶ月の予定です。前回のように何度も延長はして欲しくはありませんが、先日ブリストル村でアンチロックダウンのデモがあったようで、14人の逮捕者が出たそうです。Covid 19の感染者も増え続け、前回のロックダウンの時のような皆でこれを乗り越えようといった団結力は消滅しています。長引かないとも限りません…。

 

おかっぱは、「夜活」をしつつ、社会がロックダウンという冬眠から目覚めるのを待つのみです。暗い英国の冬、ウッカリしていると心までロックダウンしかねません。夜になると元気が出る夜型人間が暗いと不平不満を言うのもおかしな話ですしね。

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暗いお天気に暗いお話ばかりのこの頃ですが、英国には不条理さえも笑い飛ばすユーモアがあったはずです。

Always look on the bright side of life

英国を代表するコメディーグループがこんな歌を歌っていたのを思い出しました。

 

夜だって見方によっては明るい部分もありますからね。

 

へば、まんず!

(秋田弁: それでは、この辺で!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第2弾がやってきた

ロックダウンが緩和されてから約2ヶ月程で再び各地で規制が強化された英国ですが、今度は2度目のロックダウンです。

木曜日から始まりました。

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英国のロックダウンが事実上解除されてから、少なくともおかっぱの周囲の人々は、いつかまたロックダウン下に置かれるという覚悟はしていました。おかっぱのパート先では子供たちの学校が休みになるハーフタームの時期にきっと来るぞ!と皆が予想していました。

子供が休みになるからどこかへ連れて行こうと休みを取って移動をする人々が感染を拡げるのを阻止しようとするに違いないという予想でした。

 

少し時期は遅れましたが、ほぼ予想通りにロックダウン第2弾がやってくる事になりました。

 

ブリストル村の人々はしばらく前から気持ちの準備がそこそこ出来ていたのか、前回のようなパニックはほぼありませんでした。前回のロックダウンは今回のように前もって知らされるものではなかったため、人々はパニックに陥ったのだと思います。今回は数日前に知らされていたため、人々は心の準備もできて落ち着いてロックダウンに突入したように思います。さらに、前回は今まで経験した事のない事態だったため、不安が大きかったのだと思います。

 

今回は開いているお店は前回と比べて少し多いように思います。天気も悪くなる時期ですし、人々はクリスマスが例年通り祝えるのかという心配をしているようです。いくらなんでも早いだろうと思うのですが、パブの同僚たちは仕事が休みになり、退屈しているようでクリスマスツリーをセットしたりクリスマスのデコレーションを始めたようです。

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ロックダウン前にガーデンセンターに行ったらまだ2ヶ月以上も先というのに既に売り場はクリスマスのもので埋め尽くされていました。

相方の家族は例年はクリスマスに家族全員が集合し、クリスマスプレゼントを贈り合い、一緒に食事をするのですが、今年はそれもできないのではないかと思います。義母にはクリスマスリストを早く書いて送るようにと言われましたが、こんな状況下でもクリスマスはやって来るのか…と考えていたらリストに書く欲しいものが全然思い浮かばない有様です。

このクリスマスリストは、各自要らないものを貰わないように欲しいものをリストにして家族間で回しあい、そのリストの中から選んでプレゼントを贈るというものです。

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ロックダウン前に、同僚たちが今度のロックダウンはどれくらい続くのかと予想していましたが、誰一人として1ヶ月で終わると予想した人は居ませんでした。おかっぱは、時期的にクリスマス前に感染拡大を緩やかにして、クリスマスは例年通りに過ごせるようにしようという政府の方針と思っていましたが、キッチンのマネージャーは、クリスマスで休みになった人々が浮かれて出歩いて大騒ぎし、酔っ払ったり、喧嘩して怪我をする若者の増える時期にわざわざロックダウンを解除しないでしょう!あと数ヶ月続くよ!と言っていました。

 

前回のロックダウンは天気の良い日が続きましたが、今回は部屋の中を意識的に明るく保たないと気持ちまでロックダウンしそうな暗い冬がすぐそこまで来ています。

おそらく同僚たちはそんな気持ちで早めのクリスマス準備を始めたのではないかと思います。

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この1年は始まってから10ヶ月、あっという間に過ぎたようでもあり、良くも悪くも初めての事態が目白押しで一生記憶に残ることになりそうです。

あの時は大変だったと笑い話にできるのは一体いつになることでしょう!

 

とりあえずは、前回同様、全員が元気に再び会えることを心から願って。

 

へば、まんず!

(秋田弁: それでは、この辺で!)

 

スター問題に挑む

先日から突然はてなスターが押せなくなりました。毎日更新するわけでもなく、時には1ヶ月以上も放置する幽霊ブログですし、ブログが機嫌を損ねたのかしら…などと思いながら、様々な考えられる解決方法を模索しました。

テクノロジーに強いとは決して思っていませんが、そこそこ普通に使えていると思っていたので少々ショックを受けるおかっぱであります。

 

こんな幽霊ブログでもスターをつけに来てくださる優しい読者さんがいますし、おかっぱのスターを楽しみにしてくださる方がいないとも限らないなどと少し自惚れた考えもチラつきました。

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思えば英国にやって来ると同時に、記録のためにと始めたブログでした。初めの頃は毎日が冒険の連続でいざ書こうとしても書くことが多すぎて全くまとまらず、ひどい下書きを書いては訂正、削除を繰り返していました。その中でも幾分マシな下書きを投稿し、細々と続けてきたおかっぱのブログ生活。

秋田村の大自然の中で育ったおかっぱは子供の頃からマイペースです。誰にも読まれずとも全く気にもとめず、ゆるいブログ生活を送っていました。ところが、ある日スターをつけてくださった方がいて、おかっぱは嬉しい反面、突然不安になりました。

 

大変だ…。

誰かに読まれている…。

 

公開している以上、本来は驚くことでもないのでしょうけれど、おかっぱのゆるいブログ生活、スターの存在すら気にかけたこともなければ、気に入ったブログにスターをつけるということさえ解っていないのですから、機能の半分以上は利用できていなかったかもしれません。

そんなおかっぱのブログにスターが残されるとは大事件…いえ、大革命だったのでした。

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少し前にはブログに載せようとしていた写真を忘れた事に気がつき、下書きに戻して写真を追加したところせっかく頂いたスターが消えるというアクシデントにも見舞われ(自分で引き起こした一人事故ですが…)、手探りでゆるいブログ生活をどうにか続けていました。

 

そんなゆるいブログへの向き合い方をしているおかっぱが、今やスターをつけられないと残念がるのですから、マイペースなおかっぱにしては結構な成長ぶりです。おそらく毎日更新されている皆さんは、おかっぱが2年で得たほとんどの経験を初めの1ヶ月ほどでされているのでしょうけれど、おかっぱの志ときたらまさに底辺の志です。

 

考えられる手を尽くし、ついに運営へと質問を送りました。

ここまで書いて、冒頭でテクノロジーを普通に利用できていると思っていたと述べた事が、全く説得力がないと気がつくおかっぱ…。

まぁ、人生、そんな事もありますよね。

 

さて、運営に送った質問の返事には、アプリの再ダウンロード以外は既に試した方法が全て書かれていました。

そのアプリの再ダウンロードこそがこのスター問題を解決する手段だったのでした。

 

ゆるいブログ生活にも時々はちょっとした試練くらいあるものです。

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スターをまとめて残されて気味が悪いと思われた方がいらっしゃるかも知れませんので念の為、ご報告…。

 

※写真は先日のハロウィンの日、近所に現れたカボチャ達です。

 

へば、まんず!

(秋田弁: それでは、この辺で!)

古い桟橋にて

英国では再びパンデミックの影響で政府の方針が日々更新されています。そんな中わざわざ遠くに行くのも気が乗らず、必要のない休日を取ったおかっぱはその気になれば散策を含めても数時間でブリストル村へ帰って来れる範囲を探検する事にしたのでした。

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ポーティスヘッドに続いて訪れたのはウエストンスーパーメアです。こちらもポーティスヘッドと同じく湾です。範囲は狭いのですが砂浜があるためか、ブリストル村の人々は海の雰囲気を味わえる1番近い場所としてよく訪れるようです。

おかっぱは砂浜よりも岩が波に洗われて削れた岩の隙間にできた水溜まりなどに興味があり、気がつくと人気のない方向へと進んでいたのでした。

しばらく海沿いの岩場を歩くと、古い桟橋に到着しました。夏くらいにバンクシーではないかと思われるグラフィティがウエストンスーパーメアに出現したとローカルの情報を発信するサイトで読んだのを思い出しました。その桟橋はまさにそのグラフィティが出現した場所だったようです。

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バンクシー本人による確認はされていないようですが、早々に外されたようで既になくなっていました。

ウエストンスーパーメアはバンクシーがプロデュースしたテーマパーク、ディズマランドのあった場所ですし、バンクシーが出現しても不思議ではありません。バンクシーに人生を救われたと公言しているグラフィティアーティスト、JPSはウエストンスーパーメアの出身だそうです。

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町にはそこらじゅうにJPSのグラフィティがあります。町をあげて保護しているのでしょうか。ブリストル村のバンクシーはバンダライズされ元の状態で残っているものは少ないのですが、JPSのグラフィティは周りに落書きはあれど、上書きされている様子は全くありませんでした。
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そもそも壁に絵を描く事自体が本来であればバンダライズに値する行為ですから、ウエストンスーパーメアでは、JPSのグラフィティは本来のグラフィティという形態ではないのかも知れません。

ウエストンスーパーメアには新しい桟橋もあり、その建物の中はゲームセンターのようになっています。おかっぱは以前中を見て、ドジェム(ミニカーのような乗り物で周りの車とぶつかり合って遊ぶもの)に乗って大変満足し、今回は近づきもしませんでした。おそらくそういったアトラクションは現在は閉鎖されているのではないかと思います。

古い桟橋にはもう入ることができないのですが、すっかり廃墟のようになっていて、外から眺めるとなかなか味のある景色です。立ち入り禁止とは言え、崩壊の危険のある建造物を歴史の保護という名目で残してあるのはまたしても英国的という気がしてしまいます。

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このまま補修されずにいたら勝手に崩壊してなくなるのではないかと思うほど古い建造物です。

冷たい風が吹き付け、天気もどんよりとしていて、なんとなく冬の日本海に通じるような海辺です。廃墟のような桟橋がその、もの悲しく美しい景色を完成させているような気がします。

 

これからやってくる冬はCovid 19の影響で英国の人々にとっては厳しい冬になりそうですが、秋田村からやって来たおかっぱは、長く暗い冬くらいきっと今年も大丈夫だろうと思ってしまうのです。

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それでも秋田村の遺伝子はきっとこの冬も天気について度々不満を漏らしたり、または晴れ間に出た虹やチラチラと降る雪で大喜びしたりさせるのでしょう。

 

へば、まんず!

(秋田弁: それでは、この辺で!)

 

 

 

お隣の国を眺める

今年は春から夏の中盤にかけて英国はロックダウン下に置かれていたため、休暇を申請する間もなく夏は終わってしまいました。おかっぱは早く有給を使わないとなくなっちゃうよ!とパート先のマネージャーに言われ、それほど必要ではない休日をとる事にしました。

遠くへ行ってしまえば帰れなくなる可能性もあるほど日々状況は変化していますし、近場を探索することにしました。

 

秋田村の内陸育ちのおかっぱにとって、海沿いは憧れの場所です。夏でなくとも海は海であって憧れの場所なのです。そんな理由で休日の初めに訪れたのはサマセットにある田舎町、ポーティスヘッドです。実際には湾なのですが、近場のお手軽な海と言ったところでしょうか。

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以前、相方の車に乗せられて通りかかり、チラりと見ただけのポーティスヘッドですが、なんだかモダンな雰囲気に感じて近辺を歩いてみたいと思っていたのでした。ポーティスヘッドと言えば、ブリストル発祥の音楽のグループの名前として有名かも知れませんが、作曲担当のメンバーがこの町で育ったのが名前の由来なのだとか。

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ポーティスヘッドのマリーナの付近は新興住宅街のような雰囲気で新しめの集合住宅が並んでいます。ブリストルのハーバー付近と似た感じもありますが、ポーティスヘッドの方が町の規模が小さいためか、全体的に落ち着いていてスッキリとした町に見えます。

 

ブリストル村はもっと様々な文化が混在していてキャラクターが際立っていると言えるかもしれません。おかっぱはポーティスヘッドの町は美しいと思いますが相方は特徴のない港町と感じるそうな…。

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町に到着してすぐに雨がチラつき始め、近場のパブに雨宿りに入ったところ、昼過ぎ位の時間にも関わらず、今日初めての客だと大いに歓迎されました。

パブにいた店員はトーキーに住んでいたらしいのですが、オーナーに呼ばれてポーティスヘッドにやってきたばかりと言っていました。昨年トーキーに行ってカラオケナイトをやっているパブに入ったと言うと、そのパブがすぐにわかったようでした。

トーキーのカラオケナイトでは日本語の曲が1曲だけあるから歌ってくれと地元民に頼まれて歌い、その後話しかけてきた他の客たちに散々ご馳走になり、ほぼ無銭飲食状態でパブを後にしたのでした。

今はパブで歌うことも他のグループの客と気軽に話すことも出来なくなり、遥か昔の出来事のように感じます。

雨が止み、パブを出てから町を散歩し、海沿いの灯台を見に行くことにしました。

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1894年に建てられたブラックノア灯台です。もう稼働はしていないのですが、2010年までは点灯していたようです。ブリストルのハーバーに出入りする輸送船のために点灯していた模様です。

夏が過ぎたからなのか、灯台の周辺は誰もおらず、ポツンと灯台があるだけでした。哀愁漂う雰囲気もあり、時代も感じさせられる美しい灯台です。

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湾の対岸はウェールズです。ブリストルからは橋をひとつ渡るとウェールズと聞いたことがあったのですが、こんなに近くに見えるとは知りませんでした。ちょうど灯台付近を探索していた時にウェールズ側に虹がかかっていました。

もう使われなくなったものを取り壊さずに残してあるとはなんだか英国的だなぁ…と思いながらしばらく周辺をウロウロしました。

相方はこんな風の冷たい日に来る場所じゃないと言いながらもわりと楽しんでいる様子でした。1人だったら絶対行こうとも思わない場所に連れて行かれるのも2年も経てば慣れるというものです。

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今は遠くには行きにくい状況ですが、近場から「隣の国」ウェールズを眺めるのもなかなか良いではないですか。
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へば、まんず!

(秋田弁: それでは、この辺で!)

 

 

2年の日々

英国へ引っ越してから2年が経過しました。まだ2年しか居ないのかと思うような、もう2年もいるのかと思うような不思議な気分です。

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月日が経てば英国も徐々に変わっていくだろうとは思っていましたが、2年目にしてこのような急激な変化が訪れるとは全く予想外でした。環境の変化とは人間誰しも少なからずストレスを感じるものらしく、おかっぱも去年の今頃はなんだか変化疲れのような状態になりました。初めの1年はホームシックになる隙もないほど変化の連続だったということでしょう。

おかっぱのパート先のパブではこの急激な環境の変化でストレスを抱える人々の話をよく聞くようになりました。相方も最近はしばしば愚痴をこぼします。

確かに以前の暮らしとは少し違ってそれに慣れるまでの間、しばらく時間がかかるとは思います。

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最初の1年と半年、おかっぱはノンストップで風邪を引き続けました。このパンデミックによってマスクを着用する人が増えたためか、または社会的距離を保つことが義務付けられたためか、あるいはおかっぱが英国の風邪に慣れたためか、真相はわかりませんが風邪を全く引かなくなりました。

ロックダウンの間には過去に経験したことが無いほどの快眠を記録し、体調が明らかに良いのを感じたのでした。

確かに以前と違う環境に戸惑うこともあるのですが、案外悪いことだけではなく人々の衛生管理の基準は高くなり、パブでは規則を守るように客に伝えたり、守れない人は店から出てもらうなどの対策をとるので酔っ払ってトラブルを起こす客やレストランを走り回る子供たちはいなくなりました。

 

9月24日から英国ではパブやレストランは夜10時に閉店する事が義務化されました。英国は失業者も増え、経済も低迷し、今後数年はこの余波が拭い切れないでしょう。

おかっぱもギャラリーの展示が度々延期になり、ようやく展示が始まったと思ったら、ギャラリーがこのパンデミックでかなり打撃を受けていたようで、閉店することにしたと連絡をもらいました。

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作品を搬入してからギャラリーの人々の仕事振りに感動していただけに残念で仕方ありません。プロモーション用の動画を作ってくれたり、顧客への売り込みももちろん、どんな人がおかっぱの作品を見に来たなどの報告が詳しくされました。作品の搬出に行った際にその感動を伝えたところ、アーティストに信頼されるギャラリーを作りたいと始めたギャラリーだったと教えてくれました。

このパンデミックが収まってアーティストの側にまた寄り添って行けるような状況になったらまたギャラリーをどこかで始めたいとギャラリーのマネージャーが言っていました。おかっぱに声をかけてくれたギャラリストもあなたの作品を展示できて光栄でしたと涙ながらに別れの挨拶をしてくれました。

 

また会いましょう!と言いながらブリストル村の新しい握手ならぬ、肘を軽くぶつけ合う挨拶を求められました。

 

パブが10時に閉店をしてもブリストル村のローカルニュースではパブから追い出された人々が街で集っている映像などが流されていました。店を早く閉めたところであまり変わらないような気がします。

しかし、健康に不安を抱える人々はさらに恐怖を感じるようになり社会との接触を再び避け始めました。

 

今後、英国はどうなるか、元の状態まで回復するのにどれくらいの年月が必要なのかはまだわかりませんが、徐々に日照時間が短くなるこの時期、せめて気分だけでも明るく過ごそうと対策を考え中のおかっぱです。

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へば、まんず!

(秋田弁: それでは、この辺で!)

 

 

 

 

大都会から戻る

大都会ロンドンを訪れて3日目。朝に食パンとドライナッツを買い、それを持って再び観光に出かけました。初日以来、再びバッキンガム宮殿付近にさしかかると、近辺には警察官が溢れ、デモ隊が宮殿前の広場で大騒ぎでした。

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おかっぱと相方はクィーンズガードがライフルを肩から下ろし、反対の肩に持ち替え、右へ左へとマーチングするのを少し眺め、初日に訪れた公園へと向かいました。

 

持参したパンを袋から取り出すとあっという間に鳥たちが集まり、細かくちぎって投げると小鳥たちが争いあって食べます。白鳥は少し動きが鈍く、他の鳥たちに全部食べられてしまいます。白鳥の口元に投げてもやはりキャッチ出来ず…。

白鳥は水から出て、おかっぱに接近し、おかっぱの手からパンを食べるようになりました。そして、他の鳥たちにパンを与えながら白鳥にも手渡ししていると勢い余っておかっぱの指も噛みました。

 

白鳥に噛まれたのは人生初です。

 

しばらくすると、脚を何者かがつつくので周りを見回すと完全に鳥たちに包囲されていました。大きめの鴨の一種の集団がパンを催促しておかっぱの脚をつついていたのでした。

なるべく満遍なく様々な方向にパンをばら蒔いたのですが大きな鳥たちはいつまで経ってもお腹を空かせているようでした。

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人々があまり出歩かなくなって鳥たちは空腹なのでしょうか。食パン一斤を食べきった鳥の集団はおかっぱの包囲を解き、水上へと戻っていきました。

 

リスはナッツの袋を取り出すとそれを聞き付けて近くにやって来て、手の上からピーナッツやアーモンドを取っていきました。リス達にドライナッツを与えているとフェンスに何やら緑の物体が降り立ちました。インコです。

随分昔にペットで飼われていたインコが逃げ出したか何かでその後野生化して繁殖しているのだそうです。インコはアーモンドを足で受け取り、そのまま優雅に食べ、その下にこぼしたものを鳩が食べに来ました。

公園にはペリカンもいるのですが、ペリカンにはエサを与えたり触ったりしないように注意書きがありました。

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数時間公園で生き物たちと触れ合い、その後また大都会ロンドンの街へ繰り出しました。もう随分昔ですが、トラファルガースクエアには鳩が沢山いた記憶があります。夜に訪れた時には鳩は1羽もおらず、鳩の活動時間ではないのかと思いましたが、昼に通ってみてもやはり鳩は1羽もいないのでした。
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トラファルガースクエアから歩いてコヴェント・ガーデンへ向かいました。それまでで一番人の多くいる場所でなんだかようやく都会へやって来たような気分でした。人々の間にはなんとなくギクシャクした距離感はありましたが、相方は徐々に元に戻っている!と感激していました。
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その翌日、ブリストルへ戻り、同僚やパブのお客にロンドンはどうだったと聞かれ、おかっぱはおノボリさんのロンドン話を皆にしました。昔ロンドンに住んでいた人々は懐かしそうにあれこれと聞き、人の少ないロンドンの街の写真を見て少しショックを受けていました。
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おかっぱはパート先の系列店のパブに何度も行ってその度にNHSの個人情報を集めるためのスキャンをしていたので、NHSにアルコール中毒と疑われるんじゃないかと心配している!と同僚に言うと、ハロー!ミセスおかっぱ?こちらNHSのナースです!昨日はパブに行きましたか?と電話をする真似をして大爆笑。

帰り際にバス乗り場の向かいのパブのテラスでお茶を飲んでいたら、おじいさんに話しかけられました。そのパブに40年通っているけれど、こんなに人が少ないのは今年が初めてだと言っていました。

おかっぱの人生、40年目。今年は様々な意味で記憶にしっかりと刻まれる年となりそうです。

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普通に思えることもなかなか奇跡的ではありませんか。静かな大都会ロンドンが見られるのは今年が最後であって欲しいものです。

 

以上、ロンドン紀行でした。

 

とっぴんぱらりのぷう!

(秋田で昔話などの最後に結びの意味として使われる言葉)