おら、イギリスさ行くだ

田舎からイギリスのブリストルに引越しました。

隠れ家

 

 

何度となく近くを通っていたのに全く気が付かなかった教会の跡地にたどり着きました。その付近の大通りは何度も歩いている場所です。町に散歩に出かけ、帰宅中に近代的なガラス張りの建物に見慣れない建物が映されていました。

付近に住んで40年以上経つ相方も知らない建物だと言うので2人でその建物を探しに行きました。大通りから少し入った場所で建物に隠れて見えなかったのでした。

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この日は天気が良く、町には若者が溢れ、しばらく社交的活動を制限されていたおかっぱは普段であればどうということの無い人混みに妙な恐怖をおぼえ、早足に通り過ぎようとしていました。

教会の跡地は町のハーバーの辺りとは一転して人もほとんどおらず、あの人混みは一体何だったのかと笑ってしまうほどの静けさでした。まるで隠れ家のようです。

教会は外壁だけが残されており、説明の書かれた看板によると第二次世界大戦中にドイツ軍の攻撃によりほとんどが焼けて、残った外壁だけが歴史的遺産としてそこに残されたようでした。

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先週の前半は天気の良い日が続き、海辺には沢山の人が訪れたとニュースで見ました。おかっぱは元々田舎育ちであまり人の多い場所が好きではないのですが、相方はパンデミックによって社会生活を奪われ、少なからずストレスを抱えていたようです。おかっぱが足早に人混みの付近を去ろうとすると、あんなに人が沢山集まったデモがあっても感染者が増えなかったのだからもう既に皆感染して治ったんじゃないのかとおかっぱを宥め、普段通りに戻っていく町を満足そうに眺めていました。

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とは言え、おかっぱはようやく仕事に戻れる目処が立ったのにここで感染したら仕事に戻る予定は台無しじゃないかと思い、気がつくと勝手に人の居ない方向へと向いていたのでした。現在、ブリストル村は公共交通機関を利用する場合、マスクの着用が義務付けられていますが、マスクの着用に慣れていない人々は着席するとマスクを外したりずらしたりしてルールはあって無いようなものです。

この教会の跡地にたどり着いて、ホッと一息ついたおかっぱは、皆が人の集まる場所に行くのは孤独を感じながらずっと耐えていた人々の反動のように思えました。

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ここ数日で、仕事に戻る準備をしながら不安症状を訴える同僚が出てきました。今までと違う世界に出ていく不安が突然湧いてきたようです。それもそのはず、3ヶ月以上も社会生活から遮断されてきたのですから…。

おかっぱが人混みを足早に通り過ぎようとするのも同じ事なのかもしれません。ずっと楽しみにしていた日常が今まで知っていた日常と違うかもしれないのです。特に健康に不安のある家族を持つ人々にとっては恐怖でしょう。

 

パブが開くことが許可されるのは7月4日ですが、おかっぱのアルバイト先のパブは6日を再開の日に決めたそうです。週末に再開すると混雑する可能性があり、新しく決められたルールに慣れないスタッフが客やスタッフ全員の安全を守りながら業務に取り組める環境ではなくなるかもしれないというマネージャーの判断です。

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月曜日のパブとは通常は全く混雑しない隠れ家のような場所ですが、再開される月曜日はどんな日になるのでしょう。パブには新しい制服であるフェイスシールドが届いたそうです。おかっぱは時々、冗談で「私は日本のロボットです」と自己紹介をするのですが、緊張のあまり本当にロボットのような動きをしてしまうかも知れません。フェイスシールドも相まって本当にロボットのように見えるかも知れません。

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いつか、こんな時もあったな…と笑って話せる時が来るはずです。それまで、あと少しの辛抱かな…。

 

 

へば、まんず!

(秋田弁: それでは、この辺で!)