虹の痕跡
イギリスの子供たちが始めた活動、Rainbowtrail（レインボートレイル）。動物が通った痕跡（けもの道）の事を英語でAnimal trail（アニマルトレイル）と呼びますが、Rainbowtrailも日本語にしたら虹の痕跡や虹の道とでも訳されるのでしょうか。
おかっぱもこの活動に賛同して虹を窓に貼っています。
おかっぱと相方が新しいフラットに引っ越してきてから階下の家族が郊外に家を買ったそうで引越して行きました。
不動産屋を通して引っ越してきたおかっぱと相方は大家さんがどこに住んでいるか全く知りませんでした。
階下の家族が居なくなってから品のいい初老の男性が階下のフラットから工具箱を持って出てきたので、おかっぱは挨拶をし、その男性が大家さんと知りました。
初めはそれほどフレンドリーな感じではなかった大家さんですが、どうも慣れるまでに時間のかかるタイプの人のようで、何度も会って話をする間にだんだん打ち解けて話しかけてくれるようになりました。おかっぱが住むフラットがある通りの突き当たりのお宅に住んでいるようです。
今では大家さん一家はおかっぱを見かけると遠くからでも大きく手を振ってくれます。
大家さんは孫と一緒に住んでいるようでおかっぱが日本人と知ると孫が日本の絵が好きで自分の部屋の壁に大きな絵を描いたと教えてくれました。
たまにカーテンが開けられていてその絵がチラリと見えるのですが、葛飾北斎の波が大きく描かれています。
さて、そのRainbowtrailですが、おかっぱが住むフラットのある通りは初めはおかっぱの虹しか窓に貼られておらず、大人なのにも関わらずおかっぱだけが楽しんでいるようでなんだか申し訳なく思っていました。ある日、フラットの前の草むしりをしているおかっぱに大家さんの奥さんが「あなたの窓の虹大好きだわ！」と言って通り過ぎて行きました。
その数日後からチラホラと同じ通りにも虹が現れ初め、大家さんの家の窓にも大きな虹が貼られました。きっと大家さんの孫が描いたのでしょう。
その虹は素晴らしい出来栄えでおかっぱの近所では一番目立つ虹になりました。
さらにその数日後、その横に大きな青いハートの中に鳥がたたずむ絵が貼られました。
青いハートは、医療従事者に感謝を表すためにSNSなどで拡散されているものです。大家さんの孫とはまだ話したことがありませんが、おかっぱが庭に出ると彼が描いたハートは何かを語りかけるようにこちらを向いています。
数日それを眺めてから、これで新しいスタイルの「文通」ならぬ、「絵通」でもできるのではないかと思い青いハートも貼ってみることにしました。
大家さんの孫は果たして見てくれるのでしょうか。
虹の痕跡から始まる発見。
これは子供だけではなく美しいものや自然はいつも近くにあるという事を忘れがちであったり、想像力を失いがちな大人こそもっと積極的に参加した方がよいのではないだろうかと思うおかっぱなのでした。
虹の痕跡の影響かロックダウンの影響か…。
普段は気づかない小さな発見は少なくともこのロックダウンが終わるまでは続きそうです。
へば、まんず！
（秋田弁: それではこの辺で！）
